2018年に新たな民泊に関する「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行され、民泊のほとんどが国や各都道府県の許可が必要になりました。
OTA、いわゆる旅行サイトを始め民泊サイトも法律によって管理され始めたため、この数年でヤミ民泊はほぼほぼ運営ができなくなりました。
ですが、法律ができてこの数年でホストの数もリスティングの数も増加の一途を辿っています。
観光大国化を進めている日本では、今後インバウンド需要を獲得できるイベントが多く存在しています。
例えば、2020年の東京オリンピック、大阪万博、IRの設立などのイベントがあり、インバウンド需要が増えていくことが確約されています。
そんな波に乗っている民泊ですが、いざ民泊を行うにしても、法律に従って集客力をつけていかないと経営は困難です。
法律に従わないと営業停止命令が出てしまったり、集客力がないと売り上げが上がらなかったり。。。
法律にしても集客にしても事前知識に基づいた確固たる運営方針が必要です。
そこで、今回は、民泊ホストとして投資をする上で、今のうちに抑えておきたい民泊の新法や法律についてまとめました。
是非とも最後まで読み進めていただければと思います。
それでは参りましょう!
民泊にはどんな種類があるの?
①民泊新法(住宅宿泊事業法)
②旅館業法
③特区民泊(国家戦略特別区域法)
これら3つが現在の民泊運営のための法律になります。
これらがそれぞれどのような法律になっていて、どのような特徴があるのでしょうかポイントにしてまとめて見ました
是非とも参考にしてみてください。
適応が一番容易!制限もある住宅宿泊事業法(民泊新法)
まず最初に、民泊新法についてお話します。
正式名称「住宅宿泊事業法」は2018年6月に施行された、民泊関連の中で一番新しい法律です。
この民泊新法では、施設が「住宅」(人が居住する家屋や賃借人を募集中の家屋等・・・これは別荘も含みます)という扱いのまま民泊ができることを定めた法律です。
旅館業法のように。扱いを「旅館」に変更したり、申請や立ち入りの調査をされる必要はありません。
また、新法ではオンライン上で、所定の書面(住宅の図面や、利用権限を示す書面等)を届け出することでも民泊営業が可能になっています。
(もちろん、オフラインでも保健所に行けば可能です)
このように「行政への届出」という点で、民泊新法は旅館業法に比べて非常に容易なものになっています。
ですが新法において、民泊は宿泊施設ではなく『住宅扱い』になります。
これによって、年間営業日数(宿泊させる日数)が180日以内に限定されてしまいます。
この営業可能日数という点においては、旅館業法に劣ってしまうわけですね。
新法は行政手続きが楽な分、180日制限がある
と押さえておけばいいでしょう。
残りの180日はマンスリーやウィークリーなどの貸し出しをしているホストもいますが、素人が行うとコストや手続きなど利益と労力が合わなくなってしまうので、
代行業者を使ってカバーしているホストも増えています。
新法についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
法適応が難しいが、営業制限のない旅館業法
続いては旅館業法についてです。
旅館業法では、民泊物件を「旅館」「ホテル」「簡易宿所」という3つにうちのいずれかの1つとして扱い営業をすることになります。
つまり旅館業法で民泊を運営すると、法律上は「旅館」「ホテル」または「簡易宿所」として運営することになります。
これらを物件の「用途」というのですが、この用途の関係で民泊新法のような宿泊営業日数の縛りがないのが特徴になっています。
一方、旅館業法という名の通り、宿泊施設が旅館やホテルと同じ扱いになるので、審査がかなり厳しくなります。
例えば、行政による立ち入り検査があったり、建築基準法による適応をしなくてはいけなくなったり、といった適応をしなくてはなりません。
以上のような点から旅館業法の特徴は
「住居」という扱いではなくなるため、行政手続きが厄介だが日数制限がない
となっている点を押さえて下さい。
旅館業法には、他にも
- 一人あたり3.3㎡以上の面積を確保しなくてはならない
- 消防法の適応
といったような規定事項が存在します。
詳しくは以下の記事に記載してあるので、興味のある方は見てみて下さい。
地域限定の特区民泊(国家戦略特別区域法)
さて、最後に地域限定で運営ができる特区民泊についてのお話です。
特区民泊とは、国家戦略特別区域法で定められた特別区域でできる民泊のことです。
対象エリアは
- 新潟市(新潟県)
- 大田区(東京都)
- 千葉市(千葉県)
- 大阪市(大阪府)
- 北九州市(福岡県)
のようになっています。
以上の区域で民泊をやる場合は、民泊新法、またはこの法律に適応して民泊を行うことになります。
つまり、特区民泊が行える地域では、旅館業法による民泊は存在しないことになっているわけです。
また、特区民泊では、民泊を行う際に自治体から「認定」を受ける形になります。
法律上、認定は旅館業法に準拠する形になりますが、行政手続きの難易度は旅館業法ほど高くありません。
準拠するだけですので、旅館業法に基づく営業許可は不要となりますが、代わりに都道府県知事の認定を受けることになっています。
旅館業法より手続きが簡単な点について、具体的に一つ上げると用途変更届が必要ない区域があります。
例えば、大阪市では100㎡を超えない物件では必要な用途変更届がいかなる場合にも必要ありません。
旅館業法の記事で詳しくお話していますが、用途変更は必要に応じて工事が必要になるので非常に厄介な工程です。
特区にはこういった旅館業法の手続きの煩雑さがなく、新法のような180日制限もありません。
これだけ聞くと、特区民泊は非常にメリットの大きい民泊であるように思えます。
ただし、1つだけ注意点があります。
それは最低宿泊日数です。
特区民泊では、最低宿泊日数が2泊3日以上の連泊となっています。
新法や旅館業法のように1泊のみのゲストは泊めることができなくなっています。
以上、特区民泊の特徴をまとめると
特定の地域限定
行政手続きの難易度が旅館業法より低い
新法のような180日制限がない
ただし、2泊3日が最低宿泊日数
となっています。
該当する地域で民泊を行おうと考えている方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
特区民泊についてさらに詳しく説明してあります。
結局どの法律から適応していけばいいのか?
ここまで法律について軽く説明してきました。
それぞれの法律の特徴だけを抑えると
新法
- 180日に制限がある
- 届出が最も容易
旅館業法
- 日数制限がない
- 営業許可を得る難易度が高い
特区
- 地域限定
- 旅館業法と比べて認定が容易
- 日数制限がない
という感じになっているのでした。
このように法律が3つもあると、どれに適応しなくてはいけないのか、わからないですよね。
そこでここでは、ホストの皆様の状況に合わせて最適な法適応をお伝えします。
特区以外の物件で運営される方へ!まずは新法から!
特区以外の物件で民泊を始めたい、という方はまず新法からはじめるのがオススメです。
理由としては、旅館業法のメリットである日数制限がないことを、活かせるかわからないからです。
その地域のその物件で、年間どのくらいの日数ゲストが泊まるのか、ある程度の予測はできますが実際にやってみないと明らかにはなりません。
せっかく苦労して旅館業で営業できるようになっても、180日が埋まらなければ難易度の低い新法でもよかったことになってしまいます。
よって
- まずは新法で1,2年様子を見てみる。
- それで180日が埋まるようなら途中から旅館業法に切り替える。
という方針がオススメです。
特区の物件で運営する方へ!特区民泊で始めましょう!
と思っている方は、特区民泊で始めてしまう方が無難です。
というのも、特区民泊は旅館業法ほどの難易度はなく、新法にある180日制限もないからです。
認定難易度や㎡数に関する規定は、各自治体に条例に寄り定められているためご自身の物件の規定を是非調べてみて下さい!
民泊経営のための法律
民泊の運営について定めた3つの法律のポイント、ご理解いただけましたでしょうか?
民泊を運営するには、
- 法律の適応
- 収益確保のための集客力
の2ポイントが非常に重要であることを冒頭にもお伝えしました。
ご自身の物件に必要な法律を3つの中から見つけ、適切な運営をして継続的に安定した収益を皆さんが確保されることを、祈っております。