住宅宿泊事業法

民泊の規制と経緯~日本の民泊はこう変わってきた~

2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)の制定によって民泊の経営方針がとても分かりやすくなりました。

これを機に民泊経営を始めたホストの方もいれば、残念ながら経営を断念せざるを得なくなってしまったホストの方もいると思います。

昨年ようやく合法化の歩みを見せ始めた民泊の歴史が始まったのは、日本にAirbnbが上陸してからのことでした。

Airbnbが日本でサービスを始めたのは2014年、いまから5年前のことです。

あまりご存じない方のためにも、まずは民泊に関する規制がどのように現在まで変化してきたのかを年表形式にしたのでご覧ください。

民泊の歴史

2014年5月   Airbnbが日本参入

2015年10月 特区民泊の設置! 規制緩和かと思いきや6泊以上10泊未満の制限付き。

2016年4月   旅館業法改正で緩和されたと思いきや、、、

2016年10月 大きな変化!!特区民泊の宿泊数制限が大幅緩和!!

2018年6月   Airbnbのリスティング大量削除!? 新法施行前の一撃

2018年6月   旅館業法改正&民泊新法の施行により、合法民泊のみ運営可能に!!

細かな事件や規制については省略させていただいたのですが、たった5年のの間に随分と色々なことがありましたね。

これまで旅館業法の改正がなかなか進まないことから、民泊は常にヤミ民泊物件の存在するグレーゾーンなビジネスだと唱える有識者も多かったです。

いうなれば、民泊の歴史は「ヤミ民泊物件と規制の歴史」と言っても過言ではないのです。連日ニュースになっていることから、民泊に関わっていない人であってもニュースでよく耳にする話題だったと思います。

ここからは、この年表に沿って一体どのような経緯で法律が制定されて、どんな影響があったのかについて解説していきます。

実はあまり知られていない当時のヤミ民泊の状況についても話すので、民泊がなぜ規制されて、何が問題になったのかという本質をしっかりと理解していただきたいと思います。

 

現行の民泊関係の法律について。

現在民泊を経営するにあたって適応される法律は3つです。

・旅館業法
・民泊新法(住宅宿泊事業法)
・特区民泊(国家戦略特別区域法)

ここからは、どうやって規制がされていったのかについての解説になりますので、それぞれ法律の内容についてあまり自信がない場合はこちらの記事をご参照ください!

旅館業法で民泊を運営する!ホストのメリットや許可・申請方法とは旅館業法での民泊運営は収益に大きく影響してきます。ですが、民泊の法律の中でも許可が最も出にくいとも言われています。旅館業法の許可申請にあたり、注意すべきポイントと確実に許可がもらえる物件の違いをわかりやすく解説してきます。...
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ここからはなぜヤミ民泊が横行することとなったのか、またAirbnbの上陸から現在に至るまで、民泊関連の法律がどのように変化してきたのかをお話致します!

なぜヤミ民泊が横行したのか?

緩すぎた規制

法規制があり、違法民泊によって検挙される人がいたにも関わらずなぜヤミ民泊が横行したのか、不思議ではありませんでしょうか?

結論からいうと、民泊に対する規制が緩すぎたからなのです。

民泊新法の制定以前には民泊の違法運営事件が多発しました。

Airbnbが上陸した直後の2014年5月に、早速それは起こります。

足立区内の自宅のスペースを含む複数の物件を民泊として経営してとして、英国人男性が旅館業法違反により逮捕されました。

このような警察沙汰が全国に報道されたにも関わらず、1年後の2015年4月にはAirbnbに掲載されるリスティング件数がなんと8000件まで上昇し、ヤミ民泊も当たり前のように横行していきました。

常識的に考えれば、みんな逮捕や罰則を恐れて民泊に参入を躊躇うと思いませんか。

民泊の規制を多くの人がリスクと捉えず、次々と市場に参入し続けたのには理由があるんです。

 

罰則があまりに緩かったから。

 

民泊の売り上げ自体は当時も今も同じような額で、同じようなゲスト数、日数を稼ぐことができますので闇でも正規でもあまり変わらないのですが、
当時の闇民泊の罰則はとにかく緩かったのです。

 

当時の罰則は

旅館業法第十条

次の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反して同条同項の規定による許可を受けないで旅館業を経営したもの
二 第八条の規定による命令に違反した者

というものです。

難しいと思うのでかみ砕いて説明すると、

旅館業の営業許可を受けずに無許可で営業した場合や、
免許の取り消しや営業停止を命じられたにも関わらず、それに従わず営業を続ける場合

6か月以下の懲役や3万円以下の罰金が科されますよ

というものです。

非常に緩いですよね。

さらに!!

こうは書いてあるものの、そもそも実際に違法と判断されるまでには、3回程度の注意勧告があったので、それまでは全く罰則を受けずに営業することができたのです。

本当に新法制定前はザルです。

検挙が困難であったから

実は警察が検挙するために必要な証拠を集めるのが困難であったのです。

民泊の検挙はとても難しく、当時検挙するためには実際にその物件に立ち入って、旅館業法違反であることを証明しなくてはならなかったのです。
しかし、一軒一軒検挙するにしても家宅捜索するための令状が下りず、実際に泊まり覆面調査をする以外に方法がありませんでした。

闇民泊が大量にあった時代にすべてを取り締まるには大量の人員が必要なほか手間がかかり、行政側は検挙するのをあきらめていたからなんですね。

まさに新法制定前の闇民泊横行期は、赤信号みんなで渡れば怖くない」状態です。

しかし、2018年、新法制定のタイミングでAirbnbが正式な手続きをしたことが明記されていない物件をリスティングから削除すると発表しました。
リスティングから削除されたら集客ができませんね。

また、施行と同じ日に施行された旅館業法改正により違反の罰則が
「6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれを併用」
というかなり重い罰則に変更になりました。

これらの規制によるリスク&リターンを考えた結果、闇民泊経営者は民泊の掲載件数が大量に減ったわけなのです。

さて、ここからは日本の民泊事情がどのように変化したのか、Airbnbの日本上陸から現在に至るまでの経緯をお話してゆきます!

民泊年表、Airbnb上陸から現在までの経緯を詳しく説明

民泊の始まり、Airbnbの日本上陸と事件

2014年.Airbnbが日本に上陸して以来民泊というものが広く普及し始めました。

当時民泊のことを特筆している法律はなかったことにはなかったのですが、

「民泊経営は旅館業法における簡易宿所にあたるのではないか」

という認識が広まっていました。

旅館業法によって民泊が法規制されていると明確になったのは2014年5月の足立区英国籍民泊経営男性逮捕事件です。

とあるイギリス人男性が2013年11月から足立区で木造の自宅の1.2階を宿泊施設として営み外国人観光客に対してサービスを提供していたのですが、旅館業法の許可を得ていませんでした。

許可なく簡易宿所を経営したとして、旅館業法違反によりこのイギリス人男性が逮捕されました。

この事件により、「民泊は簡易宿所として旅館業法が規制する法律である」ということが広く認識されることとなりました。

次に2015年、民泊特区にかかわる法整備がなされました。
これによって民泊の敷が低くはなったのですが、かなり限定的なものでした。

2015年10月 特区民泊の設置! 規制緩和かと思いきや6泊以上10泊未満の制限付き。

政府は民泊による経済発展のために、国家戦略特別区域法、つまり特区民泊という区域を新たに作るための法改正を行いました。

この改正では、国家から特区として認定された地域で旅館業法よりハードルが低い基準で民泊の運営を許可することができるようになりました。

特区として認定されたのはこれらの地域です。

ただし、

特区において民泊は6泊以上10日以内の宿泊しか認めない、

という改正内容だったのでかなり扱いにくい法整備でありました。

6泊以上のゲストって、なかなかいないものですよね。しかも地域限定で10日以内という上限まであり、特区なのにも関わらず民泊を経営するのは非常に困難でありました。

次に2016年、旅館業法による簡易宿所に関する法改正があったのですが、こちらもかなり小さな改正で民泊業界にあまりいい影響はありませんでした。

2016年4月 旅館業法改正で緩和されたと思いきや、、、

2016年、旅館業法改正により、簡易宿所の面積による規定が変更になり

改正前:33㎡以上の物件でしか旅館業法の許可申請をできない。

改正後:10人未満の宿泊可能数の場合、宿泊可能人数×3.3㎡以上の広さがあれば許可申請をできる

というように改正されました。

とはいえ、そのほかの最低客室数や設備基準などはそのままであるため、以前申請の許可が下りるハードルは高いままでした。

2016年10月 大きな変化‼特区民泊の宿泊数が6泊以上→2泊以上に変更!!

2016年10月、国家戦略特別区域法の改正により特区民泊の運営基準が大幅に改正されました。

この改正では、

宿泊日数が6泊以上10泊未満という制限だったものが2泊以上10泊未満に改正された

ことにより、集客ハードルが大幅に下がり、宿泊者が大きく増えるきっかけになりました。

これにより特区における民泊経営はかなり容易になったのですが、特区はやはり

のように非常に限られた地域であり、民泊運営にそこまで大きな影響を与えるのは難しかったのです。

2018年6月 Airbnbのリスティング大量削除!? 新法施行前の一撃

 

民泊新法の施行と旅館業法改正の直前1週間前程度に、Airbnbに掲載されている無許可民泊が一斉削除される事件が起きました。

この削除によって事前に入っていた予約は強制キャンセルされ、多くのホストが損失を出すことになりました。

これはとあるのホストの話なのですが、

予約キャンセルにより売り上げがになり、リスティングの削除により新法の届出のための準備や消防法の適応におわれ、6-8の三か月ゲストを招き入れることができなくなってしまい、家賃3か月分の45万が赤字になってしまった方がいました。

そのホストは何とか持ちこたえてその後の運営で赤字分を取り返してしっかり収益を上げていますが、届け出をうまくできなかったホストで民泊を断念せざるを得なくなった方もたくさんいました。

今から民泊を始める方は新法の届出を出した後に民泊を始めるのでこのような損失はもちろん出ませんが、昔から闇民泊として経営していた方にとっては非常に大打撃でした。

2018年6月 旅館業法改正&民泊新法の施行により、合法民泊のみ運営可能に!!

2018年その1.旅館業法の大幅改正!!

旅館業法の改正は民泊業界への大きな後押しでもあり、闇民泊経営者に対しての大打撃でもありました。

大打撃に関しては、罰則が3万円以下の罰金から100万円以下の罰金に額が大幅に引き上げられた点です。

100万円以下の罰金という超ハイリスクになったことにより多くのホストが民泊経営を断念する一因となりました。

また、改正内容により旅館業法で民泊を経営するのが以前より容易になりました。

改正内容は

旅館業法改正
最低客室数廃止
最低床面積の緩和
洋室の設備基準緩和
暖房の設置基準廃止
便所の設備基準緩和
フロント廃止が可能

というもので、旅館業法の適応範囲内で民泊を経営するハードルがかなり下がりました。(そうはいってもいまだに難易度は高いですが。)

現在の旅館業法についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してみて下さい。

https://hotelobo.jp/blog/category/minpaku/minpaku-law/ryokangyouhou/

2018年その2.民泊新法の制定!!!

民泊業界に最も大きな影響を与えたのがこの民泊新法の制定です。

旅館業法は非常に審査基準が厳しく、旅館業法の下で民泊を経営するのは困難でした。

しかし、民泊新法の基準はかなり緩く、旅館業法だと申請をしたのちに行政の許可が必要なのに対して、
新法では必要な準備をしたのちに届出を出すだけで運営が可能になりました。

旅館業法の条件だと用途変更というものの存在により、通常の一軒家やマンションの一室を民泊として利用するのがとてもむずかしい状況であったのですが、

新法はそれらの旅館業法の範囲内では不可能であった民泊経営を可能にしたのです!!

新法について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にして見てください!

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以上が、Airbnb上陸から民泊新法制定までの経緯になります。

法整備の結果を軽く整理‼

Airbnbの上陸以降民泊が一般的なものとなり、民泊を運営するための様々な法整備の結果、今では

民泊新法
旅館業法
特区民泊

のシステムに乗っ取って合法的に運営することができるようになりました。

一部では民泊は法整備によって渋くなったといわれているようですが、法整備によって収益が減るといったことはなくむしろ合法になったおかげでゲストに安心感を与えることができるようになりました。

2018年に法整備が確立して、ここからより民泊の利用者が増えていくことでしょう!