特区民泊

特区民泊と新法・旅館業法の違いって?特徴と東京・大阪の特区を解説

2016年1月に大田区から始まった特区民泊

当時の大阪府知事の橋本氏の呼びかけで、すぐに大阪でも始まりましたが、当初は誰も特区民泊を利用しませんでした。

これには理由があって特区民泊が開始された当初は最低宿泊日数が6泊7日だったうえに、違法民泊が横行していたからです

また、当時は違法民泊が横行していて社会問題化しており、民泊に関する法規制が未熟だったののも原因の1つです。

2016年には宿泊可能日数が2泊3日に改定されましたが、1泊2日から泊まれる違法民泊に誰もが飛びつき、しばらくは脚光を浴びませんでした。

しかし、ある出来事により状況は一変します。

2018年6月に施行された「民泊新法(住宅宿泊業務法)」を覚えているでしょうか?

TVや新聞でも大きく報じられていたので、知らない人はおそらくいないでしょう。

規制が厳しくなってどんなことが起こったかというと、大手民泊仲介サイト「Airbnb」の違法物件一斉削除が起こったのです。

この事件で民泊業界内では大パニックが起きて、実に6割もの民泊ホストや代行業者は民泊事業からの撤退を余儀されなくなったほどです。

「特区民泊」はその違法民泊を行っていた業者が正しく運営をしていくための受け皿になり、大きく注目を浴びることになるのです。

特区民泊は規制が旅館業法より厳しくなく、民泊新法よりも利益を生みやすいため、東京や大阪を中心に日本国内の政令指定都市に普及するようになったのです。

特に大阪は全国の特区民泊の約85%が集まっており、日本最大の特区となっています。

旅館業法のように建築基準や消防の施設基準が厳しありません

また、民泊新法のように180日しか運営できないという制限もないため、許可・運用の難易度はそんなに高くありません。

しかし、特区民泊にはゲスト宿泊可能日数が2泊3日と決まっているので、小回りが利かないのがデメリットです。

それらを踏まえて、特区民泊の特徴認定要件、そして東京・大阪などの事例を説明していきます。

途中、条文などの難しい文章が出てきますが、皆さんにわかりやすいように解説しますのでご安心ください。

新法で民泊の運営しいて日数の規制で困っていて、新法から特区民泊に乗り換えようと思っている方は必見です。

また民泊運営が初めてで、特区などの法律の許可を取ろうとしている方も最後まで読めばこれからの戦略に大きく役立つことになると思います。

特区民泊とは?

<国家戦略特別区域法 条文
第十三条 国家戦略特別区域会議が、第八条第二項第二号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(国家戦略特別区域において、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業(その一部が旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する旅館業に該当するものに限る。)として政令で定める要件に該当する事業をいう。

(内閣府 国家戦略特区HPより)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tocminpaku.html

特区民泊は、国が指定した都市・地域旅館業法が適用されずに民泊を運営することができるという法律です。

旅館業法で民泊を運営する!ホストのメリットや許可・申請方法とは旅館業法での民泊運営は収益に大きく影響してきます。ですが、民泊の法律の中でも許可が最も出にくいとも言われています。旅館業法の許可申請にあたり、注意すべきポイントと確実に許可がもらえる物件の違いをわかりやすく解説してきます。...

ホテルや旅館向けの旅館業法を民泊向けに、場所を限定して特別したのがこの法律になります。

民泊新法に似ている部分もあるので、その2つのハイブリット型と考えるとしっくると思います。

特区は現在

大阪(大阪市)、東京(大田区)、秋田(仙北市)、宮城(仙台市)、新潟(新潟市)、神奈川千葉(成田市・千葉市)、愛知、兵庫(養父市)京都広島(今治市)、福岡(北九州市)、沖縄

で特区が施行されています。

この大阪市が圧倒的に多く、他の県の勢いがないというのも1つの問題になっています。

概要を説明したところで、他の法律と特区民泊を比べてみましょう。

特区民泊新法・旅館業法と比較してみる

それでは比較していきましょう。

新法、旅館業法、特区民泊の3つはそれぞれ似通った部分があるため、特区民泊の強みや弱みが出てきやすいです。

それぞれ比べることで3つの法律の違いもまたより分かりやすくなると思います。

旅館業法と比較

基本的には旅館業法と一緒ですが、建築基本法の規制がほとんどないです。

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一居室の床面積が25㎡以上という制限はありますが、言ってしまえばそれだけですので特区民泊の方が認可が下りやすいです。

しかし、旅館業法は制限がないのに対し、特区民泊は宿泊可能数が2泊3日以上であるため、融通が利きにくいのがネックです。

新法と比較

特区民泊はメリットが多い分、新法と比べると規制が厳しく許可が取りづらいです。

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しかし、新法は営業可能日数が年間180日以内と定められているため制限のない特区民泊の方が利益を生みやすいです。

特区内の民泊であれば、初めに新法を取って180日営業しながら、特区を取りに行くというのがセオリーになります。

この方法は収益を上げながら特区に申請できるので、かなり効率的です。

また、旅館業法はその建物全体に適用されますが、特区法・民泊新法は部屋単位で適用されます。

ですので、普通なら宿泊施設として使うことができない部屋も民泊として運営することができるわけですね。

比較して分かった特区民泊メリットデメリット

他の法律と比較することによって、特区民泊のメリットとデメリットが浮き彫りになりました。

ここで一回明確化しておきましょう。

メリット

営業可能日数に制限がない

特区民泊は旅館業法と同じく、営業可能日数に制限がありません。新法が180日以内の営業なので、倍近く違います。

収益を生むチャンスも特区民泊のほうが多いです。

旅館業法よりも規制が緩い

旅館業法の特例という枠組みですが、建築基本法が関わらない分、運営開始までの手続きが楽です。

また、旅館業法は建物全体が対象ですが、特区民泊の場合は(管理規約に違反していなければ)部屋ごとに取れるので融通が利きます

デメリット

民泊新法よりも規制が厳しい

上記した通り、民泊新法に比べて規制が厳しく、認可までに時間がかかってしまいます。ですが、保健所や消防に指摘された箇所を適宜直していけばいつかは通るので、気長にやっていきましょう。

宿泊は2泊3日から

営業可能期間に制限はありませんが、宿泊可能期間が2泊3日からなので、直前予約などのゲストをとれないのが難点です。

特区民泊には罰則がない?

特区民泊には2泊3日以上という制限がありますが、数が多く法規制も未熟なため、まだ国が把握しきれていないのが現状です。

だからといって、1泊2日で運営していると、いつ摘発されるかわからないので、規則通りに民泊を運営しましょう。

ポイント

・メリット

営業可能日数に制限がない

旅館業法よりも規制が緩い

・デメリット

新法よりも規制が厳しい

2泊3日縛り

特区民泊認定のために必要な4つの要件

ある程度概要を掴めたところで、特区民泊の認可を得るための4つの要件について説明します。

この4つを押さえた物件でなければ申請が通らず、特区民泊で物件を運営することができません。

しっかり読んで、違反がないか確認しておきましょう。

国家戦略特別地域内であること

当たり前のことですが、特区民泊を運営するなら特区内であることは大前提になります。

あなたの物件は、特区内にありますか?

 

大阪(大阪市)、東京(大田区)、秋田(仙北市)、宮城(仙台市)、新潟(新潟市)、神奈川千葉(成田市・千葉市)、愛知、兵庫(養父市)京都広島(今治市)、福岡(北九州市)、沖縄

必ず確認してから戦略を立てましょう。

一居室の床面積が25㎡以上

以前は23㎡でしたが、近年の技術の進歩により計測がより正確になったため、25㎡(約13畳)に変更になりました。

必要な設備、民泊の最低条件

こちらは民泊全般にいえる事項です。

「専用の出入り口」「台所」「浴室」「トイレ」「洗面所」

これらがないと民泊運営はできないので、物件の登録申請はできません。

そもそも一般的な家屋ならばこれらがないことは考えにくいですが、必ず確認しておいてください。

宿泊期間が2泊3日以上であること

特区民泊での宿泊期間は最低2泊3日と定められています。

この規定は各特区で異なり、最大で9泊10日となっています。

施行当初は6泊7日からのスタートでしたので、徐々に改善はされて来ています。

しかし、許可を取らずOTAサイトに掲載されている「違法民泊」が横行していた当時では実用性の無さからあまり注目されず、2016年10月に2泊3日に改定されました。

民泊ホストの義務

ホストに求められるホスピタリティやハウスルールのようなものです。

各都市の自治体(保健所や消防)などの確認が入る要項ですので、しっかりと準備しておきましょう。

具体的には

外国人旅客の滞在に必要な情報提供(ハウスルール、緊急時の情報など)

滞在者名簿の備え付け

・施設周辺地域の住民に対する適切な説明

施設周辺地域の住民からの苦情および問い合わせへの対応

・騒音などを起こさないこと

です。

以上の要件は特区民泊の審査で必ずクリアしなければならない大事なものです。

特区民泊で運営したいのならばすべて網羅して申請しましょう。

マンションの管理規約

認定要件について話してきましたが、マンションの場合、そもそも民泊禁止の場合があるので、管理規約をよく見てから申請しましょう。

これまでは特区民泊の特徴やメリット、デメリットを説明してきました。

ここからは実際の事例を見て、特区民泊の現状を見ていきましょう。

地域ごとの特区民泊 ~大阪編~

特区の中で客室数が一番多いのが2016年10月に開始された大阪市です。特区全体の85%を占めていて、現在では日本最大の特区になっています。

では、なぜ大阪の特区民泊が盛況なのでしょうか?

それには大阪の特区の立地と家賃の安さが大きく関わっています。

大阪市の特区は観光地の中央に位置していて、大阪城や通天閣などの各観光名所へのアクセスがとても良いです。

旅行者は自分の目当てのスポットへ出来るだけスムーズに行きたいので、どこの観光地にもすぐ行ける場所泊まりたいと思うものです

実際、大阪市の宿泊客室の稼働率は約73%以上であり、東京の70%を上回っています。(2018年度調べ)

観光客がたくさん泊まれば、その分だけ利益も上がる。しかし、それだけではそこまで差は出ません。数字高いといっても、僅か3%の差ですから、ここで大差は尽きません。

そこで関わってくるのが費用面の問題です。

大阪市は東京より家賃が安いです

大阪の家賃は東京の3/4ほどなので、設備費用が削減できます。

費用の削減はすなわち、収益の増大につながります。

稼働率と費用の安さが上回っているため、今大阪市の特区民泊が注目されているわけです。

もちろん、大阪では多くの物件を持つことで大きな利益を上げることが可能です。

初めに新法を取って、その後に特区民泊に移行する、というやり方を繰り返していけばだんだんと民泊の数を増やしていくことができます。

手続きが面倒だという方は民泊の運営代行などの専門家に任せるのも手です。

今、特区民泊を運営するなら間違いなく大阪市でしょう。

地域ごとの特区民泊 ~東京編~

まずは最初に出来た特区、東京の大田区です。

東京は日本の首都であり、上野や浅草、新宿、渋谷など、観光名所が多々あるため、多くの外国人観光客が訪れています

都心だと、電車の中でも、街を歩いていても、見渡せば外国人が1人は必ずいるくらいには多いです。

しかし、大田区は大阪市とは違い、残念ながら観光資源は乏しく、東京都の主要な観光地にもあまり近くはありません。スカイツリー建造後に国内外の人々から人気のスポットである浅草まで1時間掛かってしまいます。

浅草の年間の外国人観光客数が526万人(平成26年度)に対し、大田区は152万人(平成26年度)と大きな差が出ています。

本来は大田区は羽田国際空港からのアクセスが抜群なため、飛行機に乗り遅れないように空港近くの大田区の近辺で宿泊したいという観光客はいます。実際に大田区でのホテルの供給量が足りなくなるシーズンもあるのです。

しかしながら、特区の規制で2泊3日からしか運営できないので、1日泊まって飛行機に乗るということができません。アジアからの旅行客は羽田空港を使うケースが多いので、非常に大きな機会損失と言わざるを得ません。

宿泊は2泊3日からという特区の規制が、大田区での民泊運営を厳しくしているという現状があるのです。

特区規制が通常の旅館と同じように1泊2日になれば、大田区の民泊事情多少は変わると思いますが、現状では大田区以外の区で新法で運営を行った方が効率的かもしれません。

地域ごとの特区民泊 ~新潟~

東京・大阪ときてなぜ新潟?と思う方もいらっしゃるでしょう。

羽田国際空港からは遠いし、大阪のような盛り上がりもない。特区になったのが2017年10月なので、他の県と比べて認知度が低く、特区民泊の数も少ないです

何故数ある特区から新潟を選んだのか?

それは東京と大阪とは違う「農業・農作・漁業という体験ができる特区からです。

特区である新潟市では農業・農村・漁業の魅力を体験してもらう「グリーン・ツーリズム」新潟市の行政が全面的に推し出して他の都市と差別化しています。

これは農泊という形態の民泊す。

第1次産業の体験と観光客の交流地域の活性を目的とした農泊は都市の観光とはかなり違った体験ができます。

都市観光だけでなく、日本独自の農業に関心のある人、または古き良き古民家が好きな外国人観光客が主なターゲットです。

そこから

インバウンド需要の増加→移住者の増加→観光客の増加農村の活性化→さらなるインバウンド需要の増加

というサイクルを作っていくのが主な目的となっています

東京や大阪にはないユニークな特区民泊の事例ですが、今後はより人気が高まっていくかもしれません。

特区ではなくとも、地方の農村部で空き物件を所有しているホストの方は一度検討してみてはいかがでしょうか?

これから盛り上がる特区民泊

特区民泊は大阪を中心に盛り上がりを見せています。

旅館業法より規制が緩く、2泊3日以上という制限はありますが新法のように運営日数が制限されていないので収益を得るチャンスが増えていきます。

これまで新法で運営している方は、申請のハードルは高いものの収益が大きく伸ばせる特区民泊の認可にチャンレンジしてみるのもいいでしょう。

はじめて民泊の法律に触れた方は特区民泊以外の新法、旅館業法2つの法律との違いも同時に分かっていただけたかと思います。

自分の地域や物件に合った認可・承認得ることで、無駄なく収益を上げられるようになります。

是非挑戦してみてください。

といっても新法よりも規制が厳しく、簡単に認可が下りないのも事実です。

手続きが億劫な場合は、民宿運営代行など、その部門精通している専門家に委託するのも有効な手段です。

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自分にしかできないことをするため、何を誰に任せるか常に考えて戦略を立てて行きましょう。