住宅宿泊事業法

住宅宿泊事業法(民泊新法)を有効活用するための5つのポイントとは?

民泊でホストをやっていく上で欠かせないのが法律。

ヤミ民泊でトラブルが増えたことや、訪日観光客が年々増えて宿泊施設が足りないことで民泊の重要性が高まり、法整備が急ピッチで進んでいます。

旅館業の簡易宿所と、特区民泊、さらには今回の記事のテーマでもあります、2018年に施行された住宅宿泊事業法の3パターンで民泊営業が可能になりました。

すべての法律を覚える必要はありませんが、運営に重要な内容を理解しているかでホストの中でも大きな差が出ます。

もし、あなたが民泊のホストをしている、もしくはホストに興味があって収益を上げたいと思っているのであれば、この民泊新法は切っても切り離せないものですので、是非とも参考にしてみてください。

民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?


民泊新法(住宅宿泊事業法)とは届出ひとつで住宅地でも1泊から住居を使って宿泊事業を行うことができる法律のことです。

民泊新法(住宅宿泊事業法)の対象者は、

  • 住宅宿泊事業者(民泊ホスト)
  • 住宅宿泊管理業者(民泊運営代行会社)
  • 住宅宿泊仲介業者(Airbnbなどの民泊サイト)

この3つの業者に区分されます。それぞれの役割に応じて(登録)内容、業務内容、監督内容などが定義されています。

では、民泊新法において「届出」や「登録」など事業運営において必要となる手続きや、事業者の「業務」の重要なポイントをお伝えしていきます。

民泊新法の抑えておくべき5つのポイント


ホストとして民泊の営業をしていくためには、この5つのポイントだけ抑えておけば問題ありません。

逆に言えば、この5つを知らなければ、代行業者を選ぶときやサービスを考える上で大切な業務が抜けて法律違反になりかねません。

ですので、ホストとして運営していく上で重要な内容になりますので必ず覚えておいてください。

民泊が住宅で可能に

「家主居住型」「家主不在型」の2つに区分し、どちらも「一定の条件」を満たすことで、今まで宿泊施設を作ることができなかった住宅街でも民泊の営業が可能に。

ただし自治体によっては厳しいところもあるので条例などのチェックが必要です。


民泊新法(住宅宿泊事業法)法案第2条
この法律において「住宅」とは、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいう。

一 当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める設備が設けられていること。

二 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の住居の用に供されている認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当>すること。
国土交通省 観光省HPより

 

年間180日以内の運営が可能(区域の条例の確認も必要)

民泊を年間営業日数は180日以内に、自治体によっては条例によっては日数が短くなることも。


民泊新法(住宅宿泊事業法)法案第3条

都道府県(第六十八条第一項の規定により同項に規定する住宅宿泊事業等関係行政事務を処理する保健所設置市等の区域にあっては、当該保健所設置市等)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。
国土交通省 観光省HPより

 

都道府県知事へ届出義務

住宅宿泊事業者(民泊ホスト)は都道府県知事への届出が義務付けられる。

国土交通大臣の登録義務

家主不在型の民泊は、住宅宿泊管理業者(運用代行業者)への管理委託が必要となり、ホストは国土交通大臣への登録が必要となる。

民泊サイトは観光庁長官の登録義務

ホストとゲストをマッチングする民泊プラットフォーム(Airbnb、agoda等)事業者に対して、観光庁長官の登録が義務となる。

民泊ホスト(住宅宿泊事業者)のポイント

ゲストを年間180日以内であれば宿泊させるができ、都道府県知事への届出が必要。

運用方法が、家主居住型や家主不在型で異なり、家主居住型(ホームステイ型)は、住宅宿泊事業の措置(衛生確保、騒音防止、苦情の対応、宿泊者名簿の作成、標識の掲示等)の対応が義務付けられる。

一方、家主不在型(投資型民泊)ホストは、住宅宿泊事業の措置(上記に同じ)を「住宅宿泊管理業者(民泊代行会社)」に委託することが義務付けられています。

近年は多くのホストが家主不在型のいわゆる投資目的の民泊運営であるため、代行業者に完全代行、もしくは基本代行のどちらかを利用して運用しています。

複数物件を展開していたり、初めて民泊を行う場合は、完全代行を活用することでスムーズな運営ができるようになります。

住宅宿泊施設管理者(民泊運営代行会社)

民泊施設管理者は、行政庁への登録制になり以下の事項が義務化される。法令違反行為を行った場合は、業務停止、登録取消などの処分や、不正行為への罰則が設けられている。

・ 利用者名簿の作成・保存
・ 衛生管理措置(一般的な衛生水準の維持・確保)
・ 外部不経済への対応措置(利用者に対する注意事項の説明、苦情対応など)
・ (集合住宅(区分所有建物)の場合)管理規約違反の不存在の確認
・ (住宅提供者が所有者でなく賃借人の場合)賃貸借契約(又貸し含む)違反の不存在の確認
・ 行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供

民泊仲介事業者(民泊サイト業者)

Airbnbなどの民泊マッチングサイトを運営する仲介事業者への規制がなされ、仲介事業者として登録が義務化される。

・ 消費者の取引の安全を図る観点による取引条件の説明
・ 当該物件提供が民泊であることをホームページ上に表示
・ 行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供

なお届出がない民泊、年間提供日数上限など「一定の要件」を超えた民泊を取り扱うことは禁止とし、行為した場合は業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則が設けられている。

民泊新法でホストが得られる3つのメリット


180日という制限や申請の規制が増えたことで民泊運営しにくくなるのではないかという心配が増えました。

ですが、実際のところ民泊新法によって、旅館業法が取得できない物件でも民泊が可能になったことで多くのホストが参入するようになりました。

それ以外にも、大きな3つのメリットが得られ、運用が楽になっているのが事実です。

では、ホストが得られるメリットとはどのようなものなのか紹介していきます。

インターネット上から申請が可能に


特区民泊や簡易宿所型民泊のどちらも「許可制」で、宿泊料をとって宿泊させる場合は、必ず旅館業法の許可が必要でした。

許可制の場合、申請した行政官庁から「許可」や「不許可」の判断を受けることになり、そもそも申請をしていない者や不許可となった者は事業を行うことができません。

一方で、民泊新法では「届出」になります。行政の許認可を得る必要はなく、インターネット上から必要な要件(書類)を満たし受理されれば手続が完了し、事業を開始できることになります。

このように、どちらも同じ行政上の手続きですが、届出制になったことは民泊新法で民泊ホストが増えている大きなポイントになります。

「2泊3日以上」といった最低宿泊日数制限がない

特区民泊の許可を取得して合法的に民泊の営業を行う場合、最低宿泊日数が「2泊3日以上」の宿泊ゲストのみが対象となります。

一方、民泊新法では最低宿泊日数の制限がないため、1泊からゲストを受け入れることができるようになります。

短期でその地域を回りたい宿泊者を受け入れやすいので、長期滞在者を受け入れる場合においては特区も新法でもそれほど違いはありません。

住居専用地域での民泊営業が可能


民泊新法では、旅館やホテルといった宿泊施設ではなく、あくまでも「住宅」という位置づけになります。

住宅とは”実際に人が生活している家”もしくは”空室だったとしても新たな入居者の募集が行われている賃貸物件のように、人の居住のために提供されているもの”ということになります。

しかし、地域の実情に応じて条例等により日数を短縮している地域もあるため、エリア選定には注意が必要になってきます。

ヤミ民泊など新法に違反した場合の罰則


民泊新法に違反した場合には、どのような罰則があるのか。

年間営業日数が180日以内といってもバレないのではないかと考える民泊ホストや民泊運営代行会社の方もいたりします。

民泊新法は、気軽に民泊を始めやすくなる一方で、法律違反時の罰則については厳しく規定されています。具体的な罰則としては下記が挙げられます。

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

民泊運営代行会社、民泊仲介サイトに対しては、下記のケースにあてはまる場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い罰が科せられる可能性があります。

  • 登録がない状況で民泊運営代行や仲介サイトを運営
  • 不正な手段により登録を受けた場合
  • 名義貸しをして、他人に運営代行や仲介サイトを運営させた場合
  • 民泊ホストが虚偽の届出をした場合

6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金という重い罰が科せられる可能性があります。

その他にも、民泊ホスト、民泊運営会社、民泊仲介サイトそれぞれに対して、様々な罰則が規定されていますので、届出や登録の手続きにあたっては罰則についてもしっかりと確認しておく必要があります。

民泊ホストになるために必要な申請


民泊を運営するためには、下記内容を届け出る必要があります(下記以外の情報が必要となる可能性もあります)。

届出の内容

商号、名称または氏名+住所
法人の場合は役員の氏名
未成年者の場合、法定代理人の氏名+住所
住宅の所在地
営業所や事務所を設ける場合、その名称及び所在地
住宅宿泊管理業務を委託する場合、委託する住宅宿泊管理業者の商号、名称または氏名その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項
その他国土交通省令・厚生労働省令で定める事項

 

必要書類

届出に係る住宅の図面
誓約書
その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める書類

ホストの業務ルール

年間の営業日数は180日以内
床面積による宿泊者数の制限
清掃など衛生管理
非常用照明、避難経路など災害時の宿泊者の安全確保
外国人観光客向けの外国語による施設案内、交通案内
宿泊者名簿の備え付け
トラブルへの適切かつ迅速な対応
届出住宅に標識の掲示
宿泊日数の定期的な報告

 

※注意点1

家主不在型または部屋数が多すぎてホスト1人だと管理しきれない場合住宅宿泊管理業者(民泊代行業者)への管理委託が義務となります。国土交通大臣への登録を済ませている住宅宿泊管理業者(民泊代行業者)かどうか確認をしましょう。

※注意点2

複数部屋を運営する場合、戸建てだけでなく、集合住宅の1室からでも運営可能。ただし届出は1部屋ごとに必要。例えば、1棟全住戸で宿泊事業を行う場合も全戸分の届け出をしなければいけません。
管理規約において民泊が禁止されている場合には届出が受理されない可能性があります。

民泊ホストとして運営するにあたっては宿泊者の安全確保や周辺住民への配慮などもホストの業務ということになっています。

また、民泊ホストは、民泊ホストとして対応できる適切な管理数を超える場合やゲストが滞在中に不在となる場合は、民泊運営代行会社に委託する必要があります。

申請がわからなくて進まなかったり、複数物件を所有していてそこまで手が回らない場合、代行業者を利用しているホストが増えています。

申請からリスティングや清掃などの運用まで完全代行業者も増えているので依頼しやすくなってきています。

住宅宿泊事業法を有効活用した民泊の未来

民泊市場はまだまだ成長途中の市場。

日本の観光宿泊施設の需要と合わせるとますます必要性が高まってきます。

一方で、ヤミ民泊によるトラブルが増えたことで民泊が残っていくためには法制度の整備が欠かせません。

日本は世界の都市と比べ法整備が遅れていますが、今後も民泊新法などの法制度が改定されていくことで、

「民泊=合法」

という認識が世間に広がれば、ホストが民泊をさらに運営しやすくなっていくと予測できます。

大手の旅行・不動産関連企業が参入し始め、民泊事業者向けの融資や保険サービス、金融関連のサービスや民泊運営代行業者など充実してきました。

よって、サービス全般の質も問われるなかで、代行業者の選び方も重要視されています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)で民泊を行うのであれば、制度を熟知している代行業者を選んでいきましょう。